AUVSI XPONENTIAL 2019 レポート

アメリカのドローンなど展示会


世の中がGWの10連休でウキウキ気分のなか、4月29日~5月2日の期間、米国のシカゴ(McCormickPlace)で開催された“AUVSI XPONENTIAL 2019”に参加してきました。今回は出展者の立場での参加でしたが、開催期間中に全体を巡って他の出展企業の担当者からいろいろお話をお聞きすることができました。


AUVSI XPONENTIAL とは
AUVSI XPONENTIAL は無人システムや自律システムに関する大規模な総合展示会で、民間企業や防衛部門の技術者、規制当局、一般ユーザーなどが集まる。
今回も世界中から数百社もの企業や団体が出展し、ゲストも政府関係、軍関係、商社、技術者が来場、主催者から今年はおよそ8,500人が集まるとの発表があった。

<AUVSI XPONENTIAL 2019  公式WEBサイト> https://www.xponential.org/xponential2019/public/enter.aspx

AUVSI XPONENTIAL 2019 とは

今回の“AUVSI XPONENTIAL 2019”には、米国を中心に世界中から700社以上の企業や団体が出展し、ゲストも政府関係、軍関係、商社、技術者が多く集まり、非常に盛況なイベントとなっていました。

このイベントはサブタイトルが「ALL THINGS UNMANNED」ということで、展示されている機体や車両はすべて自律航行/運転の技術が使用されています。また、それらに付随する周辺機器やAIを用いたソリューションも数多く展示していました。

今回、特に目立っていたのはVTOL機の展示でしょうか。高速移動、広範囲、高高度、長時間のフライトを実現させるための機体として、多くの企業がVTOL機を展示していましたね。

全体の印象としては、コンシューマー向け製品はほとんどなく(DJIと数社のみ)、規模の大きな軍用や産業用向けの製品が大半を占めていたように思います。
出展企業は北米と欧州が中心で、”ドローンと言えば中国”といったイメージがあったのですが意外にも少ない印象でした。日本の企業も数社のみで、Japan Droneで見かけた日本のドローンメーカーは見かけませんでした。

ドローン専用スピーカーとして当社製品を展示

当社が開発した「アナウンサードローン」には「圧電スピーカー」というスピーカーが搭載されているのですが、これが世界のUAV市場でどの程度需要があるのかを確認するのが今回のミッションでした。

様々な企業の担当者やゲストに圧電スピーカーを紹介することができ、非常に良いデータを集めることができましたので、GW中に家族を日本に残して渡米した価値はあったかなと・・・。

AUVSI XPONENTIAL 2019展示内容

UAV(Multi-copter、VTOL等無人航空機)が中心となり、その他自動車や潜水艦といったものの自律航行/自動運転を可能とした技術、またそれらを活用するための周辺機器やソリューションの展示がメインとなっています。

日本国内のドローンイベントとは異なり、多くのメーカーが様々なタイプの本格的なオリジナル機体と共に、ソリューション提案しているのが特徴でした。
また、Boeing やLockheed Martinといった航空機メーカーがメインスポンサーとなって、大きなブースを構えていたのも規模の大きさを感じました。

昨年までと比較して、軍事用の機体はかなり少なくなっていて、民需用の提案が大半を占めていた印象です。ただ、コンシューマー向けではないため、軍事転用は容易と思われる完成度と性能を持ったものばかりでした。

ソリューションの提案内容は、日本国内と同様に測量が多く、特にレーザースキャナーによる3D測量が多かった印象です。



以降は会場内で特に気になったものをピックアップしてみます。無人航空機以外にも自動運転の車両も多く展示されていましたが、今回は割愛で。

人の移動手段

展示内容が最も目立っていたBELL社のブース。
複数人が一度に移動するための機体のモックアップ。
自律航行するため、無人タクシーのようなもの。

他にも、一人乗りのものも。

いずれにしても実用性のあるものの登場はまだまだ先といった感じ。

VTOL機

今回特に目についたのがVTOL機(Vertical Take-Off and Landing Aircraft =垂直離着陸) 。展示数が最も多い印象。離陸/着陸に場所を取らずホバリング/長距離飛行/長時間飛行を可能とする機体がこれからのトレンドになるのでしょうか。

スイスのベンチャー企業AutoFlight社の「White Shark V40」。最高速140km/h、航続距離1300km、ペイロード8kg。放送用COFDM技術を利用して電波発信場所からの距離200Kmの範囲でコントロール可能。
非常に洗練されたデザインの良い機体でした。

NASAとBELL社が協同開発している通称「X wing」。160km/hでの飛行と、ペイロードは30kg。

THREOD SYSTEMS社の「STREAM C VTOL UAS」。
最高速度130km/h、5時間の飛行が可能で、運用高度は3000m。オペレーションレンジは250km。

NASAからもVTOL機の展示。人が移動するためのバスのような乗り物にするらしい。

一見マルチローター機だが、変形せずこのまま真横に機体を方向け飛行するタイプ。

これら以外にもいくつかのVTOL機が展示されており、展示数としては最も多かったのではないでしょうか。下はなんだか微妙なデザインのボーイング社のVTOL機。


ヘリタイプ

大型のものが多く軍事用やレスキュー用、荷物運搬用といった利用が想定されています。バッテリーによるモーター駆動ではなく、エンジン駆動がメイン。そのため、ペイロードは30kg前後、最高速度100km以上、1時間以上フライト可能、といった性能の機体が多いです。

レスキュー用機体。

固定翼機

荷物を運搬するというものよりは、偵察用、観測用といったセンシングによって情報を得るための用途が中心。広い範囲を高速で移動することを目的としています。こちらもエンジン駆動のものが大半。

マルチローター機

様々なメーカーから完成度の高いオリジナル機体が展示されており、比較的大型のものが多かったです。DJIはコンシューマー用が多いためか、日本でのイベント出展時の印象とは違いました。

ロッキード・マーティン製は、軍事用として利用可能なレベルの堅牢性を確保。通信は強固な暗号化が施されています。ペイロードは2kg強と大きくはないですが、50分のフライト時間を確保している(とのこと)。

映画やCM等の撮影用カメラを搭載可能なドローン。

DJI機体に様々なオプションを付けて販売しているショップの展示機体。よく見る無線式のスピーカーを搭載していました。

大型機の展示がないためか地味な印象を受けたDJIブース。

CES2019にあった機体も多数。空撮や3D測量。

大型のハイパワードローンが多く展示。


その他

・燃料電池を搭載したドローンは1社のみ展示。軍事や規模の大きな民需用ということで、通常のバッテリーで賄えないものはエンジンという流なのでしょうか。まだ実用段階ではないということでしょうね。

・ドローン撃墜用レーザー 中型ドローンの腕がフレームごと破断するほどの威力。

CES2019で多くの展示があった水中ドローンは2社ぐらい。展示物はCESと同じようなものでした。利用用途を考えるとマニュアル操作が中心となるため、今回のインベントでは少々対象外なのでしょう。

・FLIR社のブース

大きなブースにて様々なタイプの赤外線カメラを展示していました。オブジェクト(人や物)認識機能を持った赤外線カメラシステム。

非常に鮮明に物体を認識可能なフィルターを搭載した赤外線カメラ。遭難者の捜索や、害獣探索に活用できそうですね

まとめ

今回参加してみて感じたことは、今まで軍事用に開発されてきた航空機や車両の無人化のシステムが、民需用に転用されつつあるのかなといったものでした。
人が移動するための手段としてはまだまだ技術的に課題は多いと思われますが、それ以外での運用についてはほとんどが実用段階に入っている印象です。

今後、現時点で実用段階に入った用途での市場拡大が一気に進み、平行して新しい技術革新や新しい分野での活用が考え出されていくことで、益々ドローン(UAV)の活躍の場が広がっていくと確信した今回の出張でした。

(撮影・文)竹中智彦 クオリティソフト株式会社ドローンビジネス開発部

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