今後のドローンビジネスの主役は誰? DJI JAPAN直撃インタビュー!

マルチコプター(ドローン)の世界シェア7割を占めるリーディングカンパニー・DJI。グローバルにビジネスを展開しており、日本では2013年にDJI JAPAN 株式会社が設立されています。
今回クオリティソフト社が東京・港区にあるDJI JAPANを訪れ、製品PRと販売促進を担当するAssociate Marketing Directorの柿野氏に、DJIという会社やドローン業界の今後まで幅広くお話を伺いました。早速ご紹介いたします。


DJI JAPAN 本社にて

・DJIという企業について

-DJIといえばドローンの代名詞とも言える企業ですが、その内側はあまり知られていないように思われます。DJIという会社について教えてください-

2006年にフランク・ワンが創業したDJIの本社は、中国のシリコンバレーと言われる深圳(シンセン)にあり、現在(2019年6月)世界中に17の拠点が置かれています。その中のもっとも大きい拠点の一つが日本にあるDJI JAPANです。日本のセンサー技術は高く評価されており、カメラ・センサー類の開発を深圳本社と一緒に行なっています。
2017年にビジネスが行ないやすいよう品川にオフィスを移転しているほか、埼玉にはアフターサービスセンターがあるなど、日本に対してはかなり投資をしているんですよ。

<プロフィール>柿野朋子(かきの ともこ)/DJI JAPAN 株式会社 アソシエイト・マーケティング・ディレクター。15年ほど外資系IT企業にて、マーケティング・コミュニケーションやパートナービジネス企画に携わる。ブランドが顧客との関係性を構築し、持続させていくための施策立案、実施に従事した。2015年、DJI JAPANに入社し、マーケティング全般を統括。ドローンが日本のために役立つと強く信じ、製品の優位性や特長を伝えるだけでなく、DJI製品を通じて”わくわく”体験と感動を日本の消費者やパートナーに届けている。



-意思決定や仕事の進め方といった、中国企業ならではのビジネスカルチャーはどのようなものでしょうか?-

DJI JAPANの従業員も多国籍なので個人的には中国企業というイメージでもないんですが、今だに「会社に日本人はいるの?」なんて言われます(笑)。ちなみに中国本社のマーケティング部門には女性が多いですね。エンジニアなど研究開発は男性が多く、平均年齢は28歳と若いので、深圳に行くと大学のキャンパスにいるかのようです。

ドローンの場合は各国にそれぞれ法規制があって、それぞれローカルの事情が違うのですが、そこを中国本社は汲み取ってくれ、理解してくれています。グローバルにビジネスを行なっている企業にもかかわらず、上から押し付けるようなことをしない稀有な会社だと思います。社内の上下関係は比較的フラットだと言え、重要事項などの決定スピードは早いのが特徴です。
コミュニケーションも社内チャットでバンバンとっており、協力し合えています。困った時は助けてくれることも多く、ほったらかしにされることはないですね。どこの企業でもそうでしょうが、やはりリスペクトし合うことが重要です。

とはいえ、会社やドローンの環境も数年前とは大きく変わってきています。私は2015年にDJI JAPANに入社したのですが、当時は広報の窓口もありませんでした。会社の成長速度は早かったので、色々と整備していた頃とは隔世の感があります。
DJI JAPANも人数が150名を超えてきており、一般的に「企業は社員数が200名を超えるくらいから、コミュニケーション方法を変えなければ」と言われますが、そういう時期にきているのかなと感じています。


-いつも突然発表される新製品には驚かされます。先日発表されたアクションカメラ「Osmo Action」、そして「Robomaster S1」でも驚かされました-

DJIの社員でもいつ何が発表されるかわかりません。突然“そうきたか!”という製品も多いんですね。社員の私も入社して以来毎回驚かされています(笑)。

Osmo Action

「Osmo Action」は、DJIとしては結構チャレンジングな製品なのです。というのもアクションカメラの場合、マーケットにはすでに多くのメーカーが参入しており、ドローン・マーケットにおけるDJIの立場とは違うわけです。
このようなある意味落ち着いていたマーケットに新しいガジェットを提案することで、”DJIが新しいものにトライする”というメッセージを消費者に届けることができます。

そして、先行企業がいるマーケットでの活動は、我々にも勉強になります。プロモーションにしても代理店や販売店に説明するにしても、ドローンの場合は“他にない製品”なので取り扱っていただけますが、Osmo Action」のようにマーケットに先行企業が多く、選択肢がある製品ということになると、私たちにしてみればさらなるマーケティング力と営業力を問われることになります。
マーケットで比べられることによりまたエンジニアも開発魂に火がつくでしょうから、Osmo Action」のような製品の発表は社員にとってもいいことだと捉えています。

また、若手エンジニアの育成を目的としたDJI主催のロボットコンテスト「RoboMaster」から生まれた製品が「RoboMaster S1」です。
部品を組み立てる過程でハードウェアであるロボティクスの仕組みを、ソフトウェアをプログラミングすることでロボット制御を学習するプログラミング教育用ロボットで、レースや対戦を楽しみながらロボット工学技術を学習できるよう設計されています。また、可愛らしいのに本格的な外見なので、学生さんも好きになってくれると思います。
この製品がキッカケとなって、次のエンジニアヒーローがDJIに入ってくれると嬉しいです。

DJI – RoboMaster S1- Items Checking and (YouTubeより)


・非GPS環境下でのドローン制御はビジネスチャンス

-非GPS環境下での飛行制御について、いろいろな企業から問い合わせをいただくのですが、DJIとしての見解についてお聞かせください-

DJIでも非GPS環境下での飛行制御についてのお客様からのお問い合わせは多く、特に商業利用については多いですね。
最近では大手食品メーカーというドローンと関係ない領域でビジネスをされている知人が、「倉庫での効率化にドローンを活用したい」と検討されていて、相談されるということもありました。
不思議なのは、そのような相談をされる方たちはドローンを飛ばしたことがないという方が多いんですよね。ドローンのビジネス領域に関わっている方は、ドローンで何ができて何ができないかということについて、ドローンを知らない人との溝をうめることに相当労力を要しているのではないでしょうか。

非GPS環境下については、現状でもDJIの開発者向けツールであるSDKを使って、ドローンを非GPS環境下で飛行運用を行なっている企業というのも海外にはたくさんいらっしゃいますが、先日発表した、「Manifold 2※」、これは非GPS環境をよりアップグレードできるオンボードマシンになっています。発表前にいくつかの海外の大学の研究室で研究してもらっており、そちらでも面白いデータが出てきています。

Manifold 2※搭載型コンピューター。ドローンを自律型ロボットへと進化させ、拡張性があり、DJIのエンタープライズプラットフォームと簡単に統合できるため、カスタイマイズした自律型ドローンソリューションを構築したいユーザーにとって、信頼できるコンピューターとなる。

このように弊社の汎用性のある機体を、お客様のカスタマイズ要望に合わせた自律飛行を可能にするということについて、今回のManifold 2というのは一つの重要な答えになるでしょう。

一方、Manifold 2とドローン汎用機があったとしても、それをうまく活用できる人材、構築できるエンジニアはどれくらいいるのか、については未知数なのですが、海外のエンジニアの数は格段に増えてきているのは確かです。
その点、日本国内でもエンジニアを抱えてらっしゃって、ドローンビジネスに携わる企業にとってはとても優位性があると思うんですね。

弊社のSDKを使っていただいているケースはまだまだ限られています。これはドローン人口が少ないということが一つ大きな要因でしょう。飛ばしてみないとDJIのドローンの性能だったり、仕様だったりは実感できませんし、やはり落ちるということを想定した運用を考えなければなりません。そういったことはドローンを飛ばした人でないとわからないじゃないですか。
やはり「構築して飛ばして、また構築して飛ばして」という環境が必要です。でも都内にいたら気軽にそんなことはできませんので、そのような環境を有する企業は今後ビジネスチャンスも大きくなるのではないのでしょうか。



・今後ドローンビジネスの主役になるのは誰?

-今後のDJIの方向性、そして今後のドローンビジネスはどのようになるとお考えでしょうか-


DJIは製品開発に投資しており、販売活動にはほとんどお金をかけていません。ソフトウェア領域でのビジネスに参入しますか? と聞かれることがありますが、そこは考えていないんです。何故ならば私たちは他業界の業務のことに詳しくないためです。
今のドローンの使用領域は農業、測量、建設業、防災などいろんな分野がありますが、私たちはDJIのドローンがどこでどう使われているかは把握が難しいのが現状です。
DJIってすごい巨人のように思われているんですが、全然そんなことはないんですよ(笑)。もちろんドローンのことはわかりますし、自分たちの製品についてはわかりますが、外に何が起きているか? ということは逆に販売代理店さんの方がユーザーさんからいろんなことを聞いてらっしゃっているのでご存知かと思います。

DJIが頑張れるところというのはとにかく開発です。安心して使っていただける製品、正しいデータを取れるセンサーの開発、それ以上はできません。
機体だけでコトが済むわけではないというところがドローンの難しさであって、「飛ばして、データを取って、持って帰る」。
DJIができることはそこまでなんですね。



今後のドローンビジネスについてですが、現在、ドローンを使ってデータを集めることはできたとしても、そこから「解」を出すことに多くの企業が悩まれています。この「解」を出すことのできる企業が最後は勝つと思うんです。欧米ではすでにその流れが始まっていて、分析・解析を担えるところが勝つと断言されていますし、私もその通りだと思います。

私もずっとこの仕事をしていて思うのは、ドローンを活用してくれる人というのは操縦者ではなく、「“解”を見つけることができて、その“解”に対してアクションを起こす人」がドローンの最終的な活用者になります。そういった意味で日本ではまだそこにビジネスチャンスがあると感じています。今後はそこに携わる企業がドローンビジネスの主役になっていくでしょう。
それはソフトウェア会社だったり事業会社で自社のシステムを作っている方々になるかと思いますが、そのような方が主役になっていただかないと私たちが成功できないですし、日本のためにもよくありません。
そういった意味で、今後DJIは脇役になっていくはずです。また、そうならなければいけないと思います。

-今後のDJI、そしてドローンビジネスがますます楽しみになってきました。ありがとうございました-

(聞き手 クオリティソフト株式会社 開発本部ドローンビジネス開発部 竹中・東)

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