“ドローンレースは来たるエアーモビリティ社会への布石となる”〜セガサミーに聞いてみました〜

2004年、ゲームメーカーのセガと遊技機メーカーのサミーが経営統合して誕生した、総合エンタテインメント企業のセガサミーグループ。グループミッション「感動体験を創造し続ける」のもと、グループシナジーを創出し、セガサミーならではのエンタテインメントを提供しています。
セガサミーグループの新たなビジネスの種となるコンテンツを探し、投資を行なっている投資マネジメント部。今回は、担当部長である清宮氏に、セガサミーが注目しているドローンについてお話いただきました。

清宮俊久(KIYOMIYA, Toshihisa)
セガサミーホールディングス投資マネジメント部担当部長。
1999年 株式会社セガエンタープライゼス入社、アミューズメント施設の店長業務を経験した後、本社社長室へ異動。2000年以降、部門名は多く変わるものの、15年に亘り経営企画として事業開発、投資・アライアンス企画推進、コーポレートガバナンス、予算編成管理、新規事業の立ち上げなどに携わる。2013年 社内ベンチャーとして独立する事となったセガネットワークス設立に際し、経営企画担当として参加。イノベーションによる社会的価値の拡大を念頭に、直近1年ではおよそ20件程の投資案件を担当。2015年11月より、投資戦略部 部長、コーポレートガバナンス部 部長、戦略企画部、を兼任。
現在、セガサミーホールディングス投資マネジメント部担当部長。

セガサミーがドローンに着目する理由

セガサミーというと、ゲームやパチンコ、パチスロというイメージです。今、ドローンに着目されている理由を教えてください。

セガサミーホールディングス株式会社の清宮氏

【清宮】セガサミー自体はドローンを作ったり、ドローンを使ったサービスを行なったりしている訳ではありません。我々が出資している会社の中に、ホバーバイク※を作っている会社があります。

※ホバーバイク:AI による姿勢制御機能を持ち、地面から数十センチの高さに浮き、人が運転することができる“空飛ぶバイク”。

この会社が目指しているのは、空を飛ぶバイクや車を作るということよりも、空を飛ぶ車が当たり前となるエアーモビリティ社会に備えたルールづくりや権利処理をどうするか、というインフラ作りに一番力を注いでいます。その中で将来訪れるエアーモビリティ社会の基礎を作っていくのが、”ドローンレース”であると考えています。

これはどういうことかというと、現代の自動車社会、モータリゼーションの歴史を考えると、やはり車のレースというものが今の自動車社会のインフラを作ってきたという考え方があります。たとえば F1(フォーミュラワン)というカーレースが今の車社会の礎となっているように、エアーモビリティ社会への最初の一歩となるのがドローンレースになるだろう、ということで注目しています。
余談ですがドローンレースに関しては自動車業界も大変熱い視線を注いでいます。これはエアーモビリティ時代への布石を打っておきたいと考えているためです。

この会社がパートナーとなっているのは、スイスに本部を置くFAI(Fédération Aéronautique Internationale : 国際航空連盟)というスカイスポーツの世界記録を管理している団体なのですが、このFAIは今後ドローン・ワールドカップを開催していくと発表しています。これは機体サイズが5インチ以上のドローンを使い、屋外でレースを行なうというもので、我々もこのドローン・ワールドカップに何らかの形で関わっていきたいと考えています。

一方でドローンをエンタテインメントとしてとらえたとき、まずセガサミーができることとしてインドアでのドローン・レースに着目しました。
先日、ある運営チームにお声がけし、セガサミー本社に併設されているコワーキングスペース「TUNNEL TOKYO」でドローンレースを開催しました。

このように、アウトドア分野はホバーバイクの会社に投資し、インドア分野ではドローンを使った新しい取り組みを検討している企業・団体に「TUNNEL TOKYO」を提供することで、現在ドローンビジネスに関わっています。

セガサミーグループの本社ビル内にあるコワーキングスペース「TUNNEL TOKYO」


セガサミーが考えるエンタテインメントとしてのドローン競技

エンタテインメントとしてのドローンレースの可能性についてお聞かせください。

【清宮】我々が今すぐドローンを使って何かをやる、というイメージはありませんが、ドローンレースがもっと盛り上がってきたときには、派生レースといったものに関わっていければと思っています。速いものが勝つというというレースが一般的になってきたら、耐久レースやグループレースといった様々なタイプのレースが出てくるでしょう。

ドローンレースというと、速いもの順に順位を競うというものが一般的かと思うのですが、先日は1本のバッテリーで何周飛べるかというエコレースをやってみました。綺麗なコース取りやソフトなコントロールができれば無駄なパワーを使わずにすみます。また、3台1組のドローンチームが芸術度を競うアーティスティック・ドローンなんてのも面白いと思っています。まだ道は遠そうですが(笑)
いずれにせよ、まずドローンレースの人気が出ないことには始まりません。

クオリティソフト社の東、竹中(左より)


マイナー競技がメジャー競技へ昇華するステップ

ドローンレースはまだまだマイナーの域かと思われます。そのあたりのことはどのようにお考えでしょうか?


【清宮】ただドローンが飛んでいるところを見ても面白くないですよね?
エンタテインメントとしては、飛んでるドローンを見ている観客の人が「いかに楽しいと思えるか」が重要なのです。
マイナースポーツの初期段階だと、その競技を行なっている人の集まりに過ぎす、内輪で楽しむといったことが多いのですが、エンタテインメントとして大きい事業になるには、「その競技をやっていない人が外から見ても楽しい」ということが必要となります。

たとえばプロ野球やJリーグが好きな人でも、実際にプレーしてる人ばかりではありませんよね。また格闘技が好きな人でも、普段格闘技をやっていない人のほうが圧倒的に多いのです。
我々も関わっているeスポーツ(electronic sports:ビデオゲームによる競技)だと、「そのゲームが好きな人だけがそのゲームの中継をみる」という見方から、「そのゲームは普段プレイしないけれども、他人のプレイを見るのが楽しい」見方へと変わってきています。マイナーからメジャーへの過渡期と言えるでしょう。

その点、今ドローンレースを観戦する人というのは、自分でもドローンをやっていたり、新しいものに興味があるから観ているという人が多く、「自分ではドローンをしないけど観戦するのが楽しくて」というステージにまでは達していないと考えています。

幅20メートル、高さ3メートルの大型LEDサイネージ「トンネルグランドビジョン」


セガサミーが見据えるドローンレースへの取り組み

ドローンレースがマイナーからメジャーになるために、セガサミーとしてどのような取り組みを行なっていますか?

【清宮】我々ができることは見てる方が楽しくなる仕組みを作っていくということです。様々な仕組みを用いてドローンレースをネット配信で観ても楽しめるようにしていこう、とアイデアレベルでサポートしています。これは事業としてというよりは、運営チームに様々なモノやアイデアを実験する場として提供しています。

ドローンがビュンビュン飛んでいても誰が勝ったかわかりにくければ、観戦者は満足しません。今後はビデオゲームのようにどの選手がどこを飛んでいるかがわかるビデオゲームのようなシステムを作り、映像化することでリアルタイムの状況がわかる、といった環境を整えていくことが必要でしょう。

ドローンレースもやはりモータースポーツと同じだと思っていますので、“ストーリー”も重要です。F1だとホンダのエンジニアがどのように頑張って車体やエンジンを作ったのか、レーサーの気質やキャリア、戦歴やライバル関係などの逸話などがわかります。高校野球では試合の合い間に学校での練習風景や地域の風景が放映され、観戦側が感情移入できるようになっているなど、エンタテインメントとして成立しています。
我々はすでにプロ麻雀チームや社会人野球のチームを持っていますので、ドローンレースが活発になってきたらセガサミードローンチームができる可能性もゼロではないと思っています。

ドローンに限ったことではありませんが、マイナーがメジャーになるにはステップが必要で、1社2社で簡単にできることではありません。さらに影響力をもつマスメディアをいかに巻き込めるかも重要な要素となります。

最後になりますが、エンタテインメントビジネスとしても発展を期待できるものの一つとして、ドローンビジネスに注目しています。
今後も多くの人に感動を届けられるエンタテインメント性のあるビジネスを応援していければと考えています。


ドローンレースがメジャースポーツとなる日を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

清宮氏(右)とクオロティソフト社の竹中(中央)、東。

(文中・敬称略)

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